税理士に頼まなくても、法人の決算書作成と法人税・消費税の確定申告は自分でもできます。ただし、初心者が一から始める場合は、簡単にできるとは言えません。税理士費用を抑えたいだけなら、税理士を変更して業務に専念した方がいいと思います。
自分で申告する最大のメリットは、経営状態の把握と税法の知識を得て、節税することにあると思います。
なんでもかんでも経費で落とすことは節税にはなりません。税務調査が入って否認されれば、追加で税金を支払わなければいけないですからね。
もくじ
申告期限と納期限
申告期限及び納期限 | |
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法人税 | 事業年度終了の日の翌日から2か月以内 |
消費税及び地方消費税 | 事業年度終了の日の翌日から2か月以内 |
法人税と消費税及び地方消費税の申告期限及び納期限は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。
申告期限が2か月以内というと、結構余裕があるように思えますが、準備を前もってしておかないと間に合わなくなります。 特に、申告書作成に慣れないうちは、調べることも多くなるので提出が期限直前になってしまいがちです。
メリット
- 税理士費用が必要ない
- どのくらい損益が出ているか、いつでも把握できる
- 消費税の納付額が事前にわかる
デメリット
- すべて自分で調べなければいけない
- 会計ソフトの費用が必要
すべて自分で調べる必要がある
初めて法人の確定申告をするときは、ものすごく時間がかかります。経理の経験者ではないなら、1年以上余裕をもって申告書作成に挑んだ方が無難です。
何故、それほどまでに時間がかかるのか。それは、わからないことはすべて、自分で調べなければいけないからです。
法人の確定申告をするにあたって、知っておかなくてはいけない知識は、山ほどあります。
- 会計ソフトの使い方
- 複式簿記の知識
- 勘定科目
- 税法、特に消費税法
- 申告に必要な書類の把握
これらの知識をすべて申告期限までに習得する必要があります。しかも、普段の業務をこなしながら、勉強しなければいけません。時間に余裕がない仕事なら、かなりきついです。
会計ソフトの費用が必要
税理士に決算と申告を依頼することに比べたら、かなり安いのですが、会計ソフトの購入費用は必要です。最近は、クラウド型の会計ソフトが多いですが、インターネットの通信状態(障害等)を気にしなくても良い、買い切り型の方が私は好きです。
メリットとデメリットを比較
メリットとデメリットを比べてみると、正直、デメリットの方が多いです。税法を把握するのにものすごく時間がかかりますし、税法は頻繁に改正されるので、勉強し続けなければいけません。
単純に税理士費用を抑えたいのなら、税理士の変更を検討した方がいいと思います。
ただ、税理士に申告を依頼する場合でも、自分で記帳していると会社の経営状態がいつでもわかるので、会計ソフトを導入するメリットはあります。利益が出ていない場合は、現実にお金がないなど体感的にわかりますが、問題になるのは、思っていた以上に利益が出ている場合です。会計ソフトを使っていると、いつでも経営状態を確認できるので、決算直前になって慌てることが減ってきます。

会計ソフト
買い切り型で市販の会計ソフトを選ぶとなると、弥生会計か会計王の2択になります。どちらもプロ版との大きな違いは、勘定科目内訳書を作成できるかと、2台で利用できるかどうかです。
申告に慣れていないうちは、勘定科目内訳書の作成機能がある方が便利です。2台同時利用は、小さな会社だとあまり必要ないかと思います。
弥生会計と会計王
私は、弥生会計と会計王、2つとも使ったことがあります。最初は、弥生会計プロフェッショナルを使っていましたが、値段も高くネットワーク認証が厳しいので、現在は会計王PROを使っています。
ライセンスの範囲内の台数でしか利用せず、不正利用はしていなかったので、弥生会計のネットワーク認証があること自体に問題はありません。しかし、パソコンを買い換えたときに、もとのパソコンに紐付いていた認証を解除するのを忘れて、新しいパソコンに移行するのに苦労しました。また、弥生シリーズの他のソフトでは、ネットワーク認証に引っかかったのか、アンチウィルスソフトに引っかかったのか、最終的に理由はよくわからないまま、起動できませんでした。
そこで、ネットワーク認証の厳しさに少し嫌気が差して、会計王に乗り換えることにしました。
必ず購入前に体験版をインストール
会計ソフトは高価なので、体験版をインストールしてから購入することをおすすめします。
- インストールと起動に問題ないかをチェック
- 最初の難関である導入設定
最低でも上記2点を、体験版の無料で使用できる30日間で試します。
会計王PROのここが便利
会計王PROは多機能なので、そのすべてを使いこなすことはできていませんが、個人的に便利だと思う機能を紹介します。
これらの機能をいつでも参照できるのが、自分で記帳するメリットの1つだと思います。
お決まり仕訳登録
給与の支払等、毎月決まった仕分けを登録できるので、記帳するのがすごく楽になります。

減価償却資産登録
自動車等の減価償却しなければいけない資産の管理が楽になります。

前期比較決算書
前期と今期の決算内容が一緒に記載された決算書を作成できます。

消費税納付チェッカー
現時点での、消費税の概算納付額がすぐにわかります。消費税の納付額は高額になりがちなので、どのぐらい準備しておけばいいのか、事前にわかるのはすごく便利です。

連続5期経営分析
分析機能は全部おすすめですが、特に1つあげるとすると、連続5期経営分析です。文字通り5期分の売上や利益が一目でわかります。
